ブスの武器

私はずっと可愛くなりたかった

正直それは今もそう

でも恋愛経験を積んで

ひとかけらの女らしさを得た今

なんだかんだ

ブスすぎた処女時代を懐かしくも思う

なぜならブスにはブスなりのメリットがあるからだ

まぁまず同性からは警戒心を持たれにくい

ブスは異性からは戦力外通告

恋愛対象からは外れてる

若ければ若い程その傾向は強い

美人からしてみたら

異性として意識する必要もなく

恋のライバルになる事もないという安心感を持ち

尚且つ面白い事を言ったり

おちゃらけてくれるブスは

自分を楽しませてくれる悪くない存在だ

また自尊心の低い美人は自分よりブサイクな友達を持つことも多い

たまに美人女優と言われる人で

友達は女芸人やオネェタレント

新宿二丁目大好きです

みたいな人がいるけれど

それがその例だ

自分より下の存在を見る事で

自分を満たしている…

とまでは言わない

実際サービス精神豊富なブスやオネェと言われる人達は魅力的だしね

だからそれが100%優越感からの友情だとは思わない

本当に人間的魅力から惹かれている部分だって必ずある

そもそもつまんないブスと一緒にいる必要性はないのだから

でも無意識に敵にはならない存在を選んでない⁇

私自身も綺麗な人や可愛い人は大好きだし仲良くなりたいと思うけれど

やっぱりどこかで

あーいいな、綺麗だな

という羨ましさや、自分なんてという劣等感を感じる事も多い

こう言うと全然ブスにメリットないし

どんだけ卑屈なんだよっ

と思うかもしれないけれど

実はこの状態はブスからしても居心地が良いのだ

恋愛は諦めて

美人には全面降伏

綺麗になる努力をかなぐり捨てて

女社会で生き残るトークを磨く

美醜という曖昧な基準に基づいた

見えないヒエラルキーに従って

自分に劣等感を持ち

ブスには忍耐力がもたらされる

なんだかんだブスはブス同士で

磨いたスキルでトークバトルを繰り広げるのだって楽しいし

美人を褒めて

彼氏の愚痴を聞きつつ

楽しい話をすれば愛される

たまにブスである劣等感や恋愛への憧れから涙する事はあっても

女社会の中で

面白いブスは無敵なのだ

そんなこんなで私も一介のメスゴリピエロとして女社会を楽しんでいた部分が多いにある

見た目では勝負できなくても

キャラやトークでデュエルして

皆んなが笑ってくれれば

僅かな自尊心も保たれた

敵のいない安全地帯

言わば女社会の永世中立国として平和に楽しくブスライフを謳歌していた

今はその武器を失ってしまったように思う

恋愛経験を経たからなのか

環境が変わったからか

可愛くなりたくて必死で努力したせいか

はたまた

ただ年を取っただけなのか

無条件に愛されて

多少自己肯定感が芽生えたのか

自分に自信が持てたのか⁇

自分でもよく分からないけど

良くも悪くも無理をしなくなった

相手が私を好きじゃないなら諦めよう

無理して話す必要なんてない

これは進化なのか退化なのか

昔のように吹っ切れたブスになる事もできず

一般的な美人とも言えない容姿をしている自分は

なんだか宙ぶらりん

どっちもバランスよく持てる女性になれたら素敵